02.地図って面白い


マップ作りに参加することになった時、小学校の記憶がよみがえった。「茶色は山、高い山は濃い茶色。水色は川と海。文は学校、〒は郵便局、卍は寺社」線と記号を使って本当の地形と建物の場所が紙の上に写されている。家に帰ってからも地図に見いった。何故かわからなけれど、大いに気に入った。今でも本を開いて、見開きに絵地図があるとワクワクする。

 

地図作りと言えば、伊能忠敬。寛政12年(1800年)二歩で一間、ひたすら、ひとつふたつと正確な歩幅を保ちつつ前進する。まっすぐの先に犬の糞があってもまっすぐ進む。(『四千万歩の男』の「星学者たち」、井上ひさし著より部分的に引用)

 

初マップ会議に高橋美江師匠は草鞋も物差しも竹筒望遠鏡も持たずに現れ、言った。

「絵地図を描き出した頃、お散歩三ヶ条を自分に課した」

  1. 先入観は持たない
  2. 目に見えないものを感じ取 ろう。
  3. 自分の感性を、面白がろう

 

私の骨董化した頭に稲妻が走った。覚えておこうこの三ヶ条。さらに「縮尺は正確につくります。いい加減な地図ではありません」と力強く言った。ハハーン、師匠はテクノロジーを駆使するんですね。

私たちは既に長年親しんでいる緑道を小さいコースに分けて何度も歩いた。意識して見ると次々発見があってコーフンした。師匠はグーグルを駆使してウオーキングをたのしんでいたらしい。正に心ここにあれば物はこちらへ語りかけてくれるのだ。

専門家たちに依る、緑道プロジェクトの資料は読み応えがあった。素晴らしく力のこもった言葉で書かれている。

住民が幸せに暮らすためにはなんとしても豊かな緑の空間、できる限り機能的で夢のあるデザインを採り入れること。その計画を実現するために、プロジェクトチームはいろいろなバリアーを越えなければならなかった。今私たちが快適に歩いている谷戸の道も、見晴らしを楽しめる小山も、彼らの情熱無くしては、自動車道路になっていたかもしれない。多くの困難を経て獲得した快適空間を今後私たちは大切に守っていかなければならない。

地図ってやっぱり面白い。紙面にあれもこれも載っている。今の私は載っていないことも山ほど知っている。湧水の音、雪の竹林、ネコジャラシの王国、早淵川の鳥たち、田んぼ。この先人たちからの贈り物を次世代へ手渡す努力をしよう。

(Noji記)